《MUMEI》
住む所
「ところでお前、記憶喪失なんだろ。住む所はどうするんだ?」
「・・・・・」
たしかにリュウヤの言うとおりだ。
「ホントは俺んちでもいいんだけど・・・・」
リュウヤが急に黙る。
「何だよ、早く言えよ。」
「ルミ姉さんが何て言うか・・・・」
ルミ姉さん?
「誰だその、ルミ姉さんって。」
「あぁ、俺の育ての親。小さい頃に捨てられたんだよ、俺。」
リュウヤは、弱々しく笑った。その時の顔は、とても悲しそうだった。
「リュウヤ、ごめんな。」
「お前が謝ることねぇだろ。早く、行こうぜ。」
行っても、いいのだろうか。
「いいのか、俺が行っても。」
「ルミ姉さんがダメって言ったって、お前が別にいいって断ったって、ゼッテー俺んちに泊めるからな。」
そう言ってリュウヤは笑った。今度はさっきと違い、力強く。その笑顔は、太陽の様だった。
「分かったよ。じゃあ早くお前の家に連れてけ。」
とりあえず、俺はリュウヤの家に泊まることになった。






「彼はまさか・・・勝利の神?」
少女をじっと見つめる者がいた。
その者の正体とは?そして、勝利の神とは一体何なのか。物語は少しずつ動き始めていた。

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