《MUMEI》

(春休みの間にロングシュートの力は上がった…


自分でもびっくりするくらいにな…


けど夏の大会を勝ち進む為には…


あのヤマトさんの突破力を身に付ける必要がある。


それはわかる。


けど…


いったいどうすればいいんだよ…)


「峰田。」


「ん?」


「お前野球部出身だろ?


トレーニングのこととか詳しくね〜のかよ?」


「あぁ、ある程度の知識はあるよ。


やっぱ野球部ってそういうのいっぱいやるし。」


「ふ〜ん、


じゃ、さっきクロさんが言ってた意味わかるか?」


「わかるよ。」


「教えてくんない?


俺イマイチわかんなくてさぁ〜。」


「う〜ん、説明しづらいんだけどさ、


例えばダンベルをやるとするだろ?」


「うんうん。」


「けど、ただやるだけじゃ筋力が付いて終わりだ。」


「…それじゃダメなのか?」


「ダメダメ。


素早い筋力を付ける為には、ダンベルをやった後に、ダンベルなしで同じ動きをするんだ。」


「同じ動き?」


「そう。


そうするとスピードと筋力が同時に付く。」


「へ〜。」


「ハンド歴の浅い俺が言うのも生意気だけど、


素早い筋力ってのはハンドでは必要なもんだと思うぜ。」


「…オッケー。


なんとなくわかった。


ありがとな。」


「い〜よ。


早くやろ〜ぜ。」


「おぅ!!」


(このチームで上を目指す…


あの時には考えられなかったな…


あの事件が起こった時には…)

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