《MUMEI》

「お菓子買ってェ!」
「冷蔵庫にあんなにあっただろ?」
「コレとアレは違うのォォ!!」

始まってしまった…チビっこのだだっこ…。

「コレが欲しいのかな?」

お兄ちゃんに無視されて膝から崩れ落ちて泣きじゃくるくるみちゃんに話しかけると、持っていた物と同じ商品を指さしてみた。

それはチョコレートムースのカップで、四つセットになっていて値段は二ユーロ六十五セント…日本円で三百円くらいかな。

そしてカップが一つ百六十グラムで全部で六百四十グラムか…。

「買ってあげる」
「ほんとっ!!」
「おいおい…」
「でもね、コレと同じくらいの重さの、くるみちゃんが食べたいと思った野菜を持ってきたら買ってあげるよ」
「ぇ……」
「果物じゃ無くて野菜だよ、分かった?」

くるみちゃんは目を見開いてきょとんとしながら「う…うん…分かった」と言って野菜売場へ走って行くと、両手でお菓子と野菜を上げ下げして、重さを量りながら一生懸命選んでいた。

「上手いこと言うモンだな…」
「そうですか?くるみちゃん一生懸命で可愛いなぁ///」

野菜とお菓子を上げ下げして選んでいるいる姿はまるで踊ってるみたいで、周りの大人も笑顔になっていた。

「こっ…コレ///」

くるみちゃんが持ってきたのはくるみちゃんの顔と同じくらいのサイズのかぼちゃが一個。

「くるみちゃん一人で全部食べられるのかな?」

そう言うと首を横に振ってまた野菜を選びに戻った。

結局、僕と一緒にじゃがいもとトマトとニンジンを選んで売場にあった秤にお菓子と比べて計るとピッタリだったのを見て、くるみちゃんの瞳がキラキラと輝いていた。

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