《MUMEI》

「渡部君……そんなに氷室様とお友達になりたかったんだね……?」

明石は地面に着陸するとき変なとこを打ったらしい。

「……は?」

「僕と氷室様の親しさに憧れてたんだよね……でも大丈夫、今日の戦いで拳を交えた僕達は友情が芽生えたと思わないかい?!」

『慕う』と『親しい』を勘違いしているのか?
そしてこいつ、スポ根見すぎじゃ無いか?
何?
人間の言葉なのこれ?


「家畜同士仲良くすることだな?」

「……?!」

氷室様は悪辣に嗤う。
僕が明石を嫌っていることを承知の上でそういうことをおっしゃるのだ。

「勿論、仲良くします!」

明石の脳天気な笑いが苛立たせた。




「…………………………………………………………………………………ヨロシクシネ……」

こっそり罵倒の言葉を織り交ぜて明石に握手を求めた。馬鹿だから言われたことに気付いていない。


氷室様は薄ら笑いを浮かべている。






ふ……分かりました氷室様、そういうプレイなんですね?
僕は堪えます、それさえも快感に結び付けますよ?

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