《MUMEI》
違和感
「…ぃ、…ぉ…ぃ、…ぉぃおい!」
耳元で叫ぶ声がして、僕はふと我に帰った。
「おい、どうしたんだよ。なんか目が虚ろだったぞ」真っ暗な野外の風景に、懐中電灯の局所的な光が揺れる。その光の元を持っているのは、今目の前で僕の顔を覗き込んでいる馬面の少年だ。
「まさか今になってびびりやがったか?ヒヒヒッ」
「そんなことないよ」
馬面の下品な笑い声は、後ろからの声によってかきけされた。僕がゆっくりと首を向けると、どこにでもいそうな、普通の少女がそこに立っていた。
「そんなことないよ、ね?ロストはこの中で一番勇気があるもん。ねぇ、ロスト」
顔を極端に近付かれつつ名前を呼ばれ、僕はたじたじとしながら頷いた。

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