《MUMEI》
彼の想い
「ノラ〜何処にいる?返事をしてくれ!」


モニター画面に 彼が映し出される。


「ノラ博士…、あの…。」
言葉を失う 若いスタッフ。


『アナタハ、ハヤクニゲナサイ。カゾクガ、マッテイルワ。』


「でも、ノラ博士は?」


ノラは無言だった。
若いスタッフは、ノラに深々と頭を下げると、その部屋を後にした。


ノラは、彼の移るモニターを 静かに見詰めていた。


その頃、カイトは、彼に当て身を食わされて、ラビの手により、ピアとジャンニと一緒に施設上空を飛行していた。


「カイト〜お前は生きろ!生きて幸せになるんだ。」
彼が、ラビに託したメッセージである。


ラビは、彼の気持ちが痛いほど、分かった。止める事は出来なかった。


「カイト、怒るだろうな…。ごめんね。」
眠るカイトに 謝った。

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