《MUMEI》
空手 〈おれ〉
放課後。



「―…じゃあね、かなめ」



青木を見送って、教室を見渡す。



おれの姿をした蓬田が、ふうとため息をついていた。


おれの視線に気付くと、蓬田は少し笑って口の形だけで『帰ろっか』と言った。



おれが頷いて立ち上がると、蓬田もワンテンポ遅れて立ち上がった。

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