《MUMEI》

帰り道。


少し前を歩く『おれ』―蓬田の背中を眺めながら、
さっき蓬田に言われたことを思い出していた。



…瀬田、いつもふざけてっけど、何だかんだいっていいヤツなんだよな。


今までに助けられたことだって何度もあったし。
…まあ、おれが助けてやった回数の方がダントツ多いけど。


戻ったら、蓬田の言うとおり―…



『ありがとう』を言おう。



恥ずかしいけど、言うべきことだ。



―…何だかんだいって、おれは、


あいつに感謝してるからな。

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