《MUMEI》

結んだ小指の先を舌で嘗められた。

「……っ」

喉から出そうな声を噛み締めた。
我慢していることも七生には分かっているようだ。

手を上手く振り解け無い。

「……約束ー。」

勝手に赤いペンで小指の付け根に線を引かれた。

「七生、それ油性?!」

「あー、そうかも。ハハハハハハハ!」

ケラケラ笑うので頭を叩いてしまった。

「二郎の愛は痛い……」

馬鹿だコイツ。

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