《MUMEI》

海南高校。


自分たちの高校OBチームが優勝を果たしたことは、


彼らにも影響していた。


「そうだ未來!!それがサイドシュートだ!!」


「…ふぅ。


基本はだいたい同じなんだね。」


「ま、だいたいな。


けど、お前の場合ジャンプ力があるから普通のサイドシュートでも十分武器になる。」


「…完璧に身に付けたい。


もうちょっと続けてくれ。」


「おっけ〜。」


市民体が終わり、


一番真剣に練習に取り組んでいたのは、


一ノ瀬未來だった。


エース千葉はそれを疑問に思いながらも、


喜びを覚えていた。


(俺が無理矢理誘って…


最初は嫌々ハンドボールやってた未來が、


こんな真剣に練習してる…


なんでかはわかんね〜けど、


こいつを誘ってよかった。)


「ナイッシュー!!」


「はぁ…はぁ…、もっとだ。」


「お…おぅ。」


海南クラブ左サイド一ノ瀬未來。


彼には、


OBチームの優勝などどうでもよかった。


彼の頭にあったのは…


赤城北高校、右サイド、関谷友樹。


『今はお前がただの素人にしか見えない』


関谷が試合中に言った一言が、


彼に火をつけた。


(試合に勝って勝負に負けたとはまさにこのことだね。


赤高の関谷…


待ってろよ?


夏には勝負にも試合にも勝ってやるよ。)


エゴイストの未來…


勝負に負けることは、


プライドが許さなかった。

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