《MUMEI》
最終話
二人は屋上に居た。「本当にいいのかい?最後の仲間になるけど」
滝はいつも慎重に仲間を選んだ。その最後の仲間が瞳なのだ。

「いいんです。いつかは能力者だとばれる時が来ると分かっていましたから」

瞳はハキハキとした口調で話す。

「うーん…上司の気まぐれで選んだようなものだからなぁ」
「あなたが選んだんじゃないんですか?」

瞳は目線を滝のほうに向けて驚きを隠せなかった。

「本来は俺が選ばないといけないんだけど、上司も選ぶ権利があるから…」

滝は眉毛を吊り上げる。

「なんで怒るのよ?」
「だって、あまりにも理不尽だと思って」
瞳は口に手を当てて笑った。
「アハハ!それは仕方ないじゃない」
「なっ笑わなくても…!」
滝は笑われて焦った。

「上司が私を選んだの?悔いなんてないわ。私はなにも知らなかったんだから」
一般人に能力者だと分からせるには時間がかかる。滝も十分分かっているはずだ。

「瞳…君を守るという約束はとても出来ない。しかし、力になる事は約束出来る」

滝は心配そうな顔をして瞳に目線を傾ける。

「私もそれなりに強くなるよう努力するわ」

二人は笑い合った。


上司はその時電話をしていた。

「もしもし…はい、こちらの準備は万全です。はい。分かっています。平和を守るのは忘れていません」

滝と瞳は事務室へ戻ろうとしたが、上司が電話しているという事に気付き、別な部屋へ移動した。


「滝…私、本当は看護婦になりたかったの」
「え?でもお前あの学校は普通の女子学校じゃないか」
「えぇ…でも、ちゃんとした専門学校に行きたかった」

瞳はうつ向き、目線も合わそうとしない。


「私は親に逆らいたくなかった!夢を叶える為に、一人立ちしたかった!」
「瞳…」
「でも、こうなった以上、仕方ないわね…能力者なら、周りに迷惑かけたくないもの」

瞳は椅子に座る。


「滝…責任、取ってもらうから」

滝は少し戸惑った表情をしたがすぐに笑った。

「任せとけ!」


そして、段取りが終わり、リメンバーズチームの結成が近くなっていった。

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