《MUMEI》

家に帰った阿久津は…


あることに気付く…


「あぁ〜!!」


(靴に…


穴が…)


ハードな練習に耐えてきた靴…


(これで5足目だ…


でも、明日の練習できないと困るしな…)


「兄ちゃん?」


「あ?」


阿久津の兄は、


クロやヤマトと同じ代の赤高ハンド部のポストだった選手だ。


「あのさ、今の時間やってるスポーツ店知らない?」


「あ〜、ちょっと遠くてもいいなら知ってるけど。」


「乗せてってくんない?」


「いいけど…


何したんだよ?」


「靴が…さ。」


「またかよ!?お前金あんの!?」


「…貸してもらえないでしょうか?」


「はぁ…


ちゃんと返せよ…」


「わり…」


40分近くかけ…


スポーツ店に向かう…


途中のことだった。


(…え!?)


車の窓から…


(嘘だろ…?)


汗だくの桜井が見えた。

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