《MUMEI》

「ちょ…ちょっと止めて!!」


「キー!!」


「何だよ!?」


「友達いたんだ!!5分待ってて!!」


車を降りて、


桜井を追い掛ける。


「桜井!!」


「え?」


振り替える桜井。


「栄二!?何でここいんの!?」


「いや…、兄貴に頼んで靴買いに行く途中なんだけど…」


「あ〜、またやっちゃった?聖龍で練習してるとすぐ壊れるんだよなぁ〜。」


「あ、あぁ。


てか…


桜井何してんの?」


「俺?俺はぁ〜、まぁランニングだよ。」


「…いっつも走ってんの?」


「まぁ…な。」


「…どれくらい?」


「う〜ん、20キロくらい?」


「20キロ!?」


「あぁ。てか、お前お兄さん待たせてんだろ?


いいのか?」


「あ、やべ!!」


「行けよ。また明日な。」


「あ…、うん…、また…」


桜井はまた走りだす。


(20キロを…


毎日?


…あの練習のあとに?)


勘違いは、


人間だけに許された高度な精神活動と言われている。


人は皆、


無意識のうちに勘違いをしている。


あなたが頑張ったのは、


どんな時ですか?


誰にも見せない努力を行ったことはありますか?


人は…


汗をかいただけで努力した気になってしまう。


誰かに見せる為のした努力は、


本当の努力なんだろうか?


誰の為の努力?


何の為の努力?


全ての努力には意味がある。


桜井の努力は、


全て…


自分の為。


自分が満足する為の努力。


何かを頑張るのが恥ずかしい。


格好悪い。


そんな考えからブレーキをかけたことがありませんか?


格好良さを…


履き違えんな。


(…俺、


スタメンになって満足してた…


優勝して満足してた…


チームでトップの二ノ宮と桜井にとって…


『そんなものただの通過点にしか過ぎなかったのに』


俺…


自分でゴール決めてた…


何て…


何てちっちゃいんだろう…)

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