《MUMEI》

道場の前に着いた。


おれが練習するんじゃないにしても、やっぱりここに来ると気持ちが引き締まる。



深呼吸をして落ち着こうとした時。



「みつる!?」



背後から大きな声がして、おれ達はそろってビクッと肩を震わせ、声のほうを振り向いた。



声の主―…清水師匠は、少し驚いたような、でも嬉しそうな笑顔で、おれ達を迎えてくれた。



「おお!来たな!」



おれ達は慌てて頭を下げる。



「入れ入れ!!今丁度チビたちが練習してるとこだ」



そう言って扉を開け、おれ達を促す。



…『チビたち』ってことは―…マサキたちが来てんのか。


久しぶりだな。



師匠の後に続いて道場に足を踏み入れると、懐かしい匂いと空気に包まれた。


そんなに休んでたわけじゃないのに、懐かしい。


チビたちの元気な声が響く。


ああ、ここだ。



おれの、一番大切な場所。



大きく息を吸い込むと、心が洗われるような気がした。

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