《MUMEI》

「…ん??てか、こっちの姉ちゃん誰だ!?」



一人の子どもが椎名くんを指差す。



子供たちの視線が一斉に椎名くんに集まる。



椎名くんは、ギクッとした表情で、今度は私に助けを求める視線を向けた。


…さっき笑ってたから、助け舟なんて出さないもんね。



「え〜、なになに、みつるのカノジョ!?」


「マジ!?美人じゃん!!」



そう言う声に、私が少し照れる。


…『美人』だって!!素直に嬉しい。



「ちっ、ちげーよ!!」



椎名くんが慌てて否定する。



「え〜??否定するトコが怪しい」


「みつるのカノジョなんでしょ〜??」



そう言って冷やかす男の子たち。
エリカちゃんと呼ばれた女の子は、少し俯いていた。



「…はい、お喋りはそのくらいにして、そろそろ始めるか!
…お前ら、みつるは逃げねえから、練習に戻れ〜」



清水さんの言葉に、渋々という感じで子供たちがそれぞれの練習に戻る。



「じゃあ、みつる着替えて来い!」


「え、あ、はい!!」



子どもたちからの解放にほっとしたのもつかの間、



…着替えるって言っても…



私、道着の着方とか分からない!!

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