《MUMEI》 どうすればいいか分からずに、私が戸惑っていると、 「あの、」 椎名くんが声を上げた。 「ん??…えっと、蓬田さん、だったかな? 今日は、みつるの応援に来てくれたの??」 清水さんが問いかける。 「あ、いえ…その〜… 椎名くんに、ちょっと、空手教わっちゃおっかな〜、なんて…」 いきなりの提案。 私も驚いて椎名くんを見る。 「そうか、じゃあ、みつるに基本を教えてもらってごらん。 …コイツ、教えるのはオレより上手いからな!!」 そうなんだ、と私がひとり感心していると、 「…はい!!」 椎名くんはそう答えて、私の腕を掴んで引っ張った。 「行くぞ」 小さく囁く。 ―…そっか。椎名くんがいれば、きっと大丈夫だ。 私は、私を牽くその力に、素直に従うことにした。 前へ |次へ |
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