《MUMEI》
出番
『クローバー』のシーンの後に一度下りた幕が、電車の効果音と共に上がり、ステージが明るくなる。


駅前で再会する、孝太と俊彦


「よく来たな!孝太」


満面の笑みの俊彦に対して、孝太はボソリと一言。


「…田舎だな」


これが、俺の初ゼリフだった。


「まぁまぁ、さぁ、行こうぜ!」


そして、孝太は『シューズクラブ』で、和馬と雅彦を紹介される。


「よろしくな!」

「よろしく!」


初対面の二人は笑顔で孝太に挨拶する。


実際は、和馬と孝太は初対面では無いらしいが、そこはややこしい事情があるらしく、台本では、変更されていた。


「…よろしく」


俺は、台本通り無愛想に挨拶した。


俺の外見と態度に、二人は俊彦に訴える。


「なぁ、兄貴。本気であの人店員にするつもり?」

「…向いてないだろ、あれは」


(多分、観客皆思ってるよな)


ステージからチラッと観客席を見ると、全員頷いていた。


「大丈夫!俺の目に狂いは無いから!
それに、この商店街には頼もしい女性陣が…

女王、麗子様がいらっしゃるじゃないか!」


高山は、完全に俊彦さんになりきっていた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫