《MUMEI》 「勝手にやってろ。俺には関係ないことだ」 「何で!?何でそんな事言うんだよ!助けろよ、助けろ!」 必死すぎる訴えに、流石の李桂もこれ以上無下にあしらう事が憚られる 溜息を深くつき、だが何がしてやれる訳でもなく唯々見下すだけだった 「……役立たず、役立たず!」 「随分な言い草だな。何でテメェに役立たず呼ばわりされにゃならん?」 一方的な言い草に、李桂の眉間に明らかに皺がよる そう言われるに到った経緯を言ってみろ、と食って掛れば 「アンタの指、斬れなかった。指斬り様に斬られなかった。指斬り様はきっとアンタが怖いんだ。だから、アンタなら何とかしてくれるって……」 地べたへと座り込み抱えた膝の間に顔を伏せ肩を揺らす 珍しく感情を剥き出すゆうり。余りに泣かれると何かこちらが悪い事をしている気分になる 「……テメェ等が俺の指に執着する理由はソレか」 「アンタの指なら大丈夫の筈なんだ。助けろよ、助、けて……」 膝を抱える腕に更に力を込め蹲る少年 その姿は、まるで何かに怯えている様に李桂には見え 怯えているソレこそが(指切り様)なのだと瞬間に理解した 「どんどん斬られてく。指が、沢山斬られていく。早くしないと手遅れに、なる」 それはあってはならない事だとの訴えに だが具体的には一体何をどうすればいいというのか 李桂に解る筈もなく、やはり溜息をついて返すばかりだ 「……解ってくれなんて言わない。全部を理解しろなんて言わないから。だから!」 とにかく助けに差し伸べられる手が欲しいと訴えられ ぐずり出してしまったゆうりの頭へ、李桂は仕方なく手を置いてやる 子供の細い髪に指を絡めながら何度も撫でてやれば ゆうりもようやく落ち着きを取り戻していた 「次は中指だから。気をつけて」 忠告するような言葉を残し、ゆうりの姿は瞬間に消えていた 後に一人残された李桂 相も変わらず出来ない状況理解に苛立ち 手荒く髪を掻いて乱すと、憎々し気に舌を打っていた…… 前へ |次へ |
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