貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い《MUMEI》イセカイへの道
「もういい!あんたが何と言っても私は帰るからね!」
「あぁ帰れ、さっさと帰れよ!お前が帰った後にすっげぇとこを見つけても教えてやんねぇからな!」
考えにふけっている僕を現実に連れ戻したのは、やはり二人の声だった。話の内容からすると大変なことになっているようだ。二人共懐中電灯を振り回し、辺りはまるでスポットライトのようだった。僕が大きな溜め息を一つつき、さすがに止めようと手を伸ばした時、
「コラッ貴様ら、そこでなにをしている!」
さすがにあれだけうるさければバレるのか、長い廊下の向こうから当直の先生が走ってきていた。
「おい二人とも、逃げるぞ!」
僕は伸ばしかけていた手で二人を叩き、間をさくようにしてすぐに走り出した。一瞬遅れて背後で走る音がするも、僕は振り返ることなく走っていった。だが。
僕は足をもつれさせそうになった。ただの事故ではない。聞こえたのだ。なにかが僕を呼んでいる音を。
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