《MUMEI》 「…あー、もーいーからさ、早く着替えよーぜ!!」 椎名くんがそう言って、ロッカーの一つから、道着を取り出した。 それを受け取って、椎名くんに背を向けてから、着ていた服を脱ぐ。 …椎名くんの体なんだけど、堂々と脱ぐのはやっぱり恥ずかしい。 道着の下を穿いて、上を羽織ると、椎名くんのほうを向く。 「左が、上」 椎名くんはそう言いながら、襟を整えてくれた。 「で、これ結んで」 椎名くんが私に手渡したのは、黒帯だった。 「おー!!黒帯だ!!」 また感激した私が思わず声を上げると、 椎名くんは、 「…いちいち反応すんなよな、」 と、可笑しそうに笑った。 前へ |次へ |
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