《MUMEI》
「うわぁ〜、夜景かっけ〜!!」
「そう?ほら水」
でっかい窓に一目散に張り付いた俺に陸ちゃんはペットボトルを渡してきた。
受け取ってごくごく飲む。夜景と冷たい水で一気に頭がはっきりしてきた。
「―――陸ちゃん…」
「ん?」
ソファに沈み煙草を吸う陸ちゃん。長い脚をくみ、落ち着いた笑顔は逆に何だか落ち着かない。
隣にボスッと座ると肩に腕を回されて、俺は陸ちゃんに寄りかかった。
「陸ちゃん相変わらずカッコイイ、―――
羨ましいな、同じ兄弟なのに」
「何言ってんだか、そんな可愛い事言ってると悪戯しゃうぞ?」
「―――――」
「―――――」
「―――――」
「―――――」
自然に…、ごくごく自然に陸ちゃんが俺に近づいてきた。
ふと瞼を閉じると唇が重なってきて…
しかし数秒もせず離れた。
「聖、だいぶキス慣れしてる、―――こっちは?」
「―――ふっ…――ん…」
首筋を柔らかく撫でられ、ちゅっと吸い付かれる。
触れ方に貢とはまた違う慣れを感じる。
…ううん、
比べらんない位慣れてる。
するりと全裸にされて柔らかい愛撫が始まる。
頭だけ横向きになったまま薄目を開ければ酷く夜景が鮮明で。
静か…静かすぎる…
音のない愛撫の中俺の吐息だけが静かに流れ、そして柔らかく、シーツに投げだされたままの指先に指先が深く絡んできた。
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