《MUMEI》 「ガラガラ…」 体育館のドアを開ける。 最近開きが悪い… なんとかなんないのかなこれ… 「お〜っす!!」 「…」 誰も挨拶を返さない。 皆僕の顔をじっと見てる。 妙な表情だ… マネージャーの佑香ちゃんまで困った顔して見てる… 「クロさん…」 椎名が僕の名前を呼ぶと同時に人差し指を上に指した。 (上?) 僕は上を見る。 「は!?」 思わず声が出た。 体育館2階。 大きい窓やカーテンがあるあのスペースだ。 僕たちはそこをギャラリーって呼んでるけど… そのギャラリーに… 大量の女の子の姿が… 「あっ!!今こっち見たよ!!」 何かすげ〜盛り上がってる… つ〜か制服でギャラリーにいられたら… 目のやり場に困るな… いや、むしろ見てくれってことなのかな? 「クロさん… どうします…?」 「何が?」 「練習…?」 「いやいやいや!! 人いるからって関係ないでしょ!? はい!! インディアンランニングからだよ!!」 海南クラブがテレビに出た翌日。 僕の予想通り影響が大きかったのは女子だ。 前へ |次へ |
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