貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い

《MUMEI》
イセカイへの道
頭の奥にただ響くだけの音。僕はたった今、音は全てを伝えうるものなのだと分かった。
「…ぃ………う……よ…」遠くで何かが叫んでいるのが雑音として伝わる。
僕の中の何かがこう言っている。僕にはそれに逆らう意味などない。僕にはそうするしかない。さぁ、行け、ためらうな、と。
さっき聞こえた雑音があの二人が道が違うということを警告したものだったと気付いたときには、すでに僕は階段を上に登っていた。これでもう逃げ道はなくなったが、それも必要ない気がした。ただ上に、屋上になにかがあるということがなぜか分かっていた。

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