《MUMEI》 椎名くんのいつものランニングコースを走り終えると、『椎名くん』の私もさすがに疲れた。 道場の入り口の階段に腰掛けると、 「…あ〜、いい運動になった!!」 と、椎名くんが悪戯っぽく笑って言った。 「…明日、筋肉痛だねー」 私が言うと、椎名くんは、 「げ、…それゆーなって!!」 と、顔をしかめた。 しばらく夏の匂いの風に吹かれていると、 〜♪♪♪♪♪♪〜 椎名くんのポケットで、携帯の着信音がなった。 この着信音って―… 椎名くんがポケットから携帯を取り出し、少し眺めたあと黙って私に手渡す。 From:西城先輩 この文字を見た時、心が浮き立つのを感じた。 「―…西城先輩からだ!!」 嬉しくて、椎名くんに報告すると、 「―…よかったな」 椎名くんは伸びをしながら、興味なさそうに答えた。 前へ |次へ |
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