《MUMEI》

(上司)
『Yくん!大変だ!
大口の商談が決まったぞ!いや〜これで我が社も安泰だよ(笑)まさに…“棚からぼた餅”だな!!』


“棚からぼた餅…?”


たしか意味は…思いがけない幸福が巡ってくること。


…だったよな。


一生懸命プレゼンして勝ち取った企業…。


果たして…
思いがけない幸福…
…なのだろうか?


そもそも棚からぼた餅が落ちてきたら幸福なのか…?


…気になる。


【検証してみよう!!】


俺はまず“ぼた餅”を探した…。大福でもおはぎでもない…ぼた餅を…。


思いがけず苦労した…。


“ぼた餅ってなかなか売ってないんだな…。”


まぁいい…。次は棚の上にぼた餅をセッティングだ。


“よしっ!オッケー!”


俺は棚の横に、仰向けに転がり、緻密な計算のもと、ぼた餅が落ちると想定した落下地点で口を開けた!


“いくぞ!!”


俺は思い切り
棚を蹴飛ばした!!


ガタンッ


棚は大きく揺れ、計算通りぼた餅が落ちてきた…。


パコッ


…………………………。


ふっ…成功だ!


見事、俺は、ぼた餅を口でキャッチした…。


そして、思った…。


…これは


偶然では不可能だ…。


俺は方程式を解き始めた。


一般家庭における…


ぼた餅が
棚の上にある確率…

その横で
寝転がっている確率…

ぼた餅が
落ちてくる確率…


仰向けに
口を開けている確率…


口でキャッチする確率…


あらゆる確率を計算した結果は言う迄もない…。


“棚からぼた餅”とは…
思いがけない幸福が巡っくることではなく、
緻密な計算のもと、訪れる幸福なことであった…。


ざまぁみろ上司!!


お前は“完璧”ではなかったのだ!!

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