《MUMEI》

夜。


僕は約束より少し早く着いてた。


やっぱり少し…


ドキドキする…


「あれ?早いね小太郎。」


時間通りに美紀が来る。


「あぁ、道空いてたからね。」


「そっか。


じゃあ行こっか。」


「うん。」


おいおい嘘だろ?


何ドキドキしてんだよ!!


女の子と2人で飯食うのなんて僕にとって普通のことじゃん…


ましてや元カノだぞ?


僕はむしろ気まづくて嫌だってタイプじゃん!!


「どうしたの?」


「え?何が?」


「珍しく無口だから。」


「…」


ここは何か言い訳考えるとこじゃん!!


何黙ってんだよ!!


いつもの頭の回転早さはどこにいった!?


「疲れててさ。」


最悪だ…


0点だよこの解答。


おもしろくない上に普通。


しかも疲れてるとこ女の子に見せないのに…


「頑張ってるんだね、小太郎。」


「…ま、そうだね。」


ダメだ…


最初っからやり直したい…


今日の解答全然ダメ…


こんなんで大丈夫かよ…

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