《MUMEI》 「夢って?」 「えへへ… あのね? あたし今秀皇大に行ってるのは知ってるよね?」 そりゃあな… 一緒に行こうってうるさかったし、お前。 「知ってるけど?」 「あたし教育学部なんだ。」 「へ〜、じゃ将来は先生か。」 「そうだよ。 まだ卒業まで2年あるけどね。」 「ふ〜ん。 先生になりたいなんて知らなかった。」 「…最初はね? なんとなくだったの。」 「…うん。」 「ただ小太郎と同じ大学行きたいって思ってただけだったから、 学部なんて考えてなかった。 ホントにどこでもよかったの。」 「…ま、僕は専門学校に行っちゃったけどね。」 「そう!! だからさ〜、やりたいことなんてないし、1年生の時なんてホント暇だったの!! だからホームページとか作ってみたりしてさ…」 あぁ… それがハンドボールプログラムってわけね。 「でもそのホームページがきっかけで小太郎にまた会えて… その時小太郎言ったでしょ? 『僕の道は僕が決める』 『友達と一緒、彼氏と一緒じゃなきゃ嫌だっていうお前とは違う』 って。」 …言ったな。 さすがに覚えてるわ。 「あれ悔しかったんだ。 凄く。 それで、あたしもやりたいこと見つけることにしたの。 あたし自身の為に。」 「…それで?」 「何がしたいかな? って考えた。 それで… 小太郎が赤高の皆にハンドボール教えて、試合してるの見て、あたしもやりたいなって。」 「…お前人に教えられるほど上手くないだろ。」 「うるさいなぁ!! いいの!!」 「あはは!!悪い続けて!!」 「でね? あたし今教育学部いるし、 これって運命かな? って思って…」 「将来赤高ハンド部の顧問になりたいと。」 「あ〜!!何で言うの!!」 「だってそこまで話聞いたらわかっちゃうじゃん!!」 「もぅ… そうだよ。正解。 あたし先生になって、ハンド部の顧問やりたいの。 もちろん赤高のね!! だからその時の為に…」 「部員集めててほしいんだ。」 「あ〜!!だから何で言うの!!」 「あはは!!美紀は話のオチが見え見えなんだよ。」 …この日、 美紀と飯食ってて普通に楽しかった。 …僕は、 美紀は友達や彼氏と一緒じゃないと嫌だ、 ってタイプってわかってたから、 同じ大学には行かないって決めた時、 近くにいれない恋愛は美紀には無理だろう。 そう思って、別れを告げた。 けど… もしかしたら間違ってたのかな…? … (小太郎笑ってた… よかった…) 前へ |次へ |
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