《MUMEI》
赤城家の正月
「バカみたい。」
彼女、赤城 鈴は兄である琴に冷たい。新年最初の兄妹の会話は一瞬で終わった。
「…お前、そんなんじゃ友達なくすぞ。」
「大丈夫。他の人には普通にしてるから。」
正月のテレビ番組に飽きた琴は、先ほどみた初夢の内容を鈴に話してみた。返ってきた言葉は予想していたとおりだったので、苛立ちはしなかった。
「第一なんでそんなこと私に話してんの?」「いや、一応双子の妹だし、似たような夢みてないかなと思って。」
このとき鈴は『妹』の部分で目つきを鋭くした(ガンを飛ばしたでも可)。彼女は自分のほうが姉だと主張しており、うかつに妹よばわりすると何をされるかわからない。
「そんなバカみたいな夢、みるわけないじゃない。というか徹夜で勉強してたからまだ寝てないわよ。」
「受験生は大変だな。俺も去年は頑張ってたな。」
鈴は中学生の頃、長期入院していたため、兄とは一年遅れの高校受験なのだ。
「………」
鈴は何も言わない。ただ去年の冬休み、毎日のように見舞いに来ていた兄の姿を思い出す。
「…テレビつまんないし私寝るわ。」
「おう。良い初夢を。」
自分の部屋へと向かう鈴を見送りながら、琴はテレビのチャンネルをかえる。
琴と鈴の両親は、大晦日から親戚の家に行っている。鈴は勉強のために残り、琴は友人との約束のために残った。母親が作っておいたおせち料理を食べながら琴は、友人の訪問を待っていた。現在の時刻は13時。約束の時刻は12時。
携帯がなった。友人からだと思ったが見てみると違った。琴の通っている我妻竹宮学園の学生寮の寮長だった。冬休みなので家に帰って来ているが、琴は学生寮に住んでいる。寮長とは親しくしているので、琴はなんの疑いもなく電話にでた。
この電話にでなければ彼は普通に冬休みを過ごすことができた。
前へ
|次へ
作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
ケータイ小説サイト!
(C)無銘文庫