《MUMEI》
男女の友情
「私ね、祐希の事、好きなの」

「え… えぇぇ!?」


志穂さんの言葉に、俺は思わず叫んでしまった。


「だだだだって」


屋代さんは…仲村さんの…

(自分の夫の愛人?だぞ)


愛人という表現が正しいのかはわからないが、俺はただ目を丸くして、志穂さんを見つめた。


「本当に、綺麗な目ね」


志穂さんは、クスリと笑った。


「愛しているのは、一人だけよ。ただ、私は人間として、祐希の事が好きなの。
優しいところや、人を思いやれるところがね」


「人間として…」


俺の言葉に、志穂さんは頷いた。


「田中君は、そういう意味で、志貴の事、どう思ってるの?」

「好きですよ」


俺は自分でも驚くほどあっさりと、返事をしていた。

自分の気持ちに正直で、正義感や責任感が強い津田さんを、俺は人間として好きだった。


「…だって」


?


志穂さんの言葉に、俺は首を傾げた。


「… 本当?」

「え?」


慌てて振り返ると、そこには、…


「津田さん、いつから、そこに?」

「祐也を、追いかけて…

祐也が、ここに来た時から」


津田さんは、申し訳なさそうに答えた。

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