《MUMEI》
初めての女友達
「じゃあ、私はこれで。夕飯の支度があるから」


志穂さんは、普通の主婦らしい理由で、屋上を後にした。


「祐也を、困らせないから、…友達になってくれる?」

「あの…俺。実は、女友達っていないから、よくわからないんですけど」


守達を友達に入れていいかわからないが、彼等を友達に分類しても、男友達と女友達は、違うような気がした。


中学時代の同級生の女子達は、俺が高山といるのが気に入らなかったから、とても友達とは言えなかったし。


高校でも、俺が親しく話すような女子はほとんどいなかった。


(希先輩は、先輩だしなあ)

戸惑う俺と対象的に、津田さんは嬉しそうだった。


「祐也、女友達、初めてなの?」


俺が頷くと、津田さんは満面の笑みを浮かべた。


「男も女も大して変わらないわよ。あえていえば、女の子には、あんまり下ネタ言わない位ね」

「男にも、言いませんよ」
「友達なら、敬語は無し」
「は…うん」


(あれ?友達決定か?)


首を傾げる俺を無視して、津田さんは嬉しそうに続けた。


「彼女になれなくても、祐也の初めての女友達になれたから、…もういいわ!これからもよろしくね」

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