《MUMEI》
盛り上がる教室
志貴に、ラブレターの対処方法を教えてもらいながら、俺達は教室に辿り着いた。


「あ、来た!」


(相変わらず志貴の人気はすごいな)


あっという間にクラスの全員から俺達は囲まれた。


「田中君、可愛かったのね!」

「ねぇ、ハーフなの?」


「…は?」


近付いてくる女子達に、俺は思わず後退りした。


「おい、守!助けろ!」


集団の中に守を発見した俺は、守にしがみついた。


「ゆ、祐也、君…」

「? 何だ?変な奴だな」


(今まで俺を君付けした事なんか無いのに)


見上げると、何故か真っ赤な顔の守がいた。


「あ〜、祐也。俺にしとけ。俺、彼女持ちだから」


(…は?)


真司に引っ張られ、俺は守から離れた。


「…何の話だ?」

「お前の顔は、強烈過ぎるって話だ。
健全な青少年が道を外しかねないくらいな」

「何だ、それ?」


首を傾げていると、志貴が来て、俺宛てのラブレターを一枚読み上げた。


「『田中祐也君。気持ち悪いかもしれないけど、俺、君の可愛い顔を見ていると、ドキドキしてしまうんです。
…付き合って下さい』」


この場合のドキドキは、ムラムラと同じ意味だと、志貴は解説した。

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