《MUMEI》 着替えこうして、俺は、付き添いを断り、一人で保健室にやってきた。 (誰も、いないな) 少しの間だからと、入口に鍵をかけた。 (こっちは…) ベッドの前にあるカーテンを開けると、誰もいなかった。 (よし) 窓のカーテンも閉めた俺は、素早く着替を始めた。 まずは、スカート。 (スースーするな) それから、何故か半袖のサマーセーラーを着る為に、俺はTシャツも脱いで、タンクトップになった。 「何だ? これ」 「う、…うわぁ!」 背中に他人の指の感触と、聞き覚えのある男の声がして、俺は悲鳴を上げた。 (何でいるんだ?) 俺は、口を動かしただけだが、その男は俺の質問に答えた。 「だって、保健委員だから。居眠りしてたのバレちゃまずいと思って、ベッドの下に隠れてたんだ」 そう言って 最早、俺の天敵になっていた 祐は、ニッコリと微笑んだ。 「で、それ、刺青?」 「…そうだよ。だから、水泳も、風呂もダメなんだ。 誰にも言うなよ」 母親と同じで、勘の鋭そうな祐に、俺は正直に告げた。 しかし、祐は、志穂さんと違い、何の見返りもなく秘密を守る人間では無かった。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |