《MUMEI》 危険なシチュエーション「は、なせ…よ!」 「嫌だね。こんな美味しいシチュエーション、誰が逃すか」 いつの間にか、俺はベッドに押し倒され、祐が覆いかぶさっている状態だった。 着替え途中の俺は、上はタンクトップ一枚、下はボクサーパンツにミニスカートという奇妙な格好だった。 「祐也は、素顔見せてモテモテになっちゃったから、今のうちに食べとかないと…ね?」 「『ね?』じゃ、ね〜よ!この変態! 非常識にもほどがあるぞ!」 「…俺の握力に負けないなんて、やるじゃん、祐也」 「必死になるに決まってんだろ!普通!」 祐の両手を掴んで体を押し退けながら、俺は叫んだ。 「普通」 「…え?」 「普通、普通、普通。そればっかりだね、祐也は」 「煩い!俺には大事なんだよ!」 「お前には、無いわけ? 普通が、世間の常識がどうでも良くなる、自分だけの普通が」 いつの間にか、祐からは笑みが消え、真剣な表情になっていた。 「俺ね、コロッケには醤油派なの」 「…は?」 真剣な口から出た意味不明の言葉に、俺は首を傾げた。 「ちょっ…!」 その隙に、祐に抱きしめられてしまった。 「いいから、最後まで聞けよ」 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |