《MUMEI》
ターゲット
峠を上って行くと、中盤辺りであいつらとすれ違った。

(あいつ来るかな)

さっきのバトルでやりすぎた事が気になっていた。

展望台に入ると、集まっているライダー達の視線が突き刺さる。
それを横目に見ながらコースに入ると、一気に下っていく。

時折、地面と膝が、ガシュッと音を立てる。

その後、前のバイクに追いつき、減速させられる。

暫く追走すると、前のライダーは俺に気付き、左に寄り減速する。
それを追い越した後、左手を軽く挙げて加速していく。

最近のタイヤは性能が良い。
公道用でも、俺達の時代のレース用並みのグリップがある。

そのせいか、タイヤ任せに走っているライダーが多い。

それでも十分速いが、俺達からすれば、まだ甘い。

そう思った直後、俺のミラーにバイクが移った。

(こいつ速い!!
いつの間に来たんだ?)

すかさず俺は、全開走行に切り替えた。

直後、あいつらとすれ違ったが、後ろを引き離すのに精一杯だった。


何とか逃げ切り、退避所でUターンしながら振り返ると、GSXーR600だった。

完全に俺を狙っている。

(ロックオンってか?)

間違いなく、今までで一番速い。

俺は、一呼吸置いた後、コースに飛び出した。

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