《MUMEI》
優しい嘘。
何時間待っても
彼は来ない…。

嘲笑うかのように雨…


この際、死ぬまで待ち続けてやろうか…。


なんて
馬鹿なことも考えた…。


真っ暗な道から足跡だけが聞こえていた…。


“彼…?”


“…違った。
ずぶ濡れで走ってきたのは彼の親友だった…。”


同じくずぶ濡れの私は、涙を隠すように俯く…。


彼の親友はゼエゼエと、息をきらしながら言う。


『…悪い。
俺、伝言頼まれてたんだ!“今日は急用が出来たから会えない”って!!
本当だよ!忘れてた…。』


ウソをつくのが苦手な彼の親友の目は泳いでた…。


そして彼の親友は言った。


『忘れてたお詫びに、今日は俺が飯奢るよ…。
なっ!行こう!』


…私は、彼の親友の作り話にノッた。
誰が聞いても、フラれた私が、すっぽかされたって分かるのに…彼の親友は必死で嘘を突き通した…。


そんな彼の親友の優しさが…嬉しかった。


そして、数年後…。


彼の親友だったあの人は…


私の旦那さまになった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫