貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い

《MUMEI》
ようこそ
目を背けたくなるほどに眩しい朝日を浴びて、僕は目を覚ました。まず最初に目に入ったのは、ベッドや荷物など生活に必要なもの以外には何もない、見慣れた風景だった。
(…あれ?)
僕は頭を疑った。
(こんなとこ、今まで来たことないぞ?)
取り敢えずベッドから降り、赤に染められた椅子に座る。そして何が起こったのかを考えようとする。だけど、
(…お腹減ったなぁ…のどもカラカラだし…どうしようかな…)
どうやらこのやけに落ち着く部屋は、どうでもいいことを考えさせる効果があるようだ。ほどなく、僕は決断を下した。
(外に出て、誰かに食べ物をもらってこよう。何軒か回れば誰かくれる人もいるだろう)
楽天的な考えではあるが、外に出ればなにかわかるかもしれない。そう思って、僕は扉を開けた。
嘘みたいに明るい街。それと、家の前に座ってる可愛い女の子。それが、家を出た瞬間に僕が見たものだ。「お、起きた?ずっと寝てたから心配したんだよ?」その子は僕を見るなり、突然そう言った。そして思わずのけぞった僕の顔を覗き込み、満足そうに頷いてから、こう言った。
「ようこそ!SIVILIDAへ!」

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