《MUMEI》 「千秋兄さんのお気に入りなの?」 千守さんは大天使様みたいに微笑む。 「……早く、行け。」 氷室様の目付きが次は無いと語っていて答えられない。 「兄さんがそう言っていても僕が今、君に用があるのだからもう少し居ても構わないね?」 僕の氷室様への返事が起こる前に千守さんは言う。 「……え。」 僕はどうすればいいか解らない。 「……ね?」 氷室様と僕を交互に見て確かめた。 「……一分だ。」 氷室様が時間制限付きで許してくれた。 「兄さんとは同級生?」 「はい。」 「僕は千に守るで千守、君は?」 「明るい石の珠の緒で、明石珠緒です。」 にこやかに一方的な質問をされた。詰問を受けている気分だ。 「そう、珠緒って言うんだ。仲良くしたいね。そうだ父さんの誕生日には珠緒も勿論来るよね?」 「……?」 氷室様のお父様の誕生日のお祝い……? 「時間だ行け!」 氷室様に首輪を掴まれ吹っ飛ばされた。 前へ |次へ |
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