《MUMEI》
「うん……」
深く唇を塞がれたまま躰が少しづつ一つに繋がっていく。
「――っ…はぁあ、…」
「聖、俺だけ見て、
信じて、聖が大好き、
―――初めてなんだ、こんなに誰かを好きになったの、どうしていいのかわかんない位好き、一秒でも離れたくない」
・
「―――貢…」
寂しげに今にも泣きそうな表情で俺を見下ろす貢。
酷く幼く見えるそれがまだ貢だって俺と同じ15歳の子供なんだって思い知らされる。
・
―――まだまだ、
ただの子供。
力強い腕や、広い背中、落ち着いた物言いをする貢が俺よりも今は酷く小さく幼く感じて。
「俺も貢の事守っても良い?」
・
ちょっと硬めの黒髪に触れ、俺は貢を真っ直ぐに見据える。
・
「うん、――――
……」
・
甘え方を知らないで大きくなった子供、貢は俺を激しく抱いた後、俺の胸に顔を擦りつけながら眠ってしまった。
お互いの事何も知らないで好きって感情だけで毎日を過ごしてきたけど…。
これからはいっぱい話もして、ちょっとやそっとじゃ崩れない関係を作っていこう。
いつも抱き潰されてしまい先に寝てしまう事が多い俺。
だからたまにしか見れない貢の寝顔にじっと見いってみる。
「なんだ、ただのでっかい子供じゃん…」
頬にキスをして、そして一瞬だけ唇を重ねて。
前へ
|次へ
作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
ケータイ小説サイト!
(C)無銘文庫