《MUMEI》
下僕の悩み
「明石君、大丈夫?」

保健室の先生、新井田さんがわざわざ様子を見に来てくれた。

対応したいが髪が伸びっぱなしだ。

「入るよー?」

咄嗟に上着を羽織りフードを被った。

「明石君風邪なの?病院行ったかい、今死亡説流れてるよ!」

新井田さんは物腰が柔らかく、室内履きで登校してしまうようなうっかりなお兄さんだ。

「明石君?大丈夫かい?」

心配してくれているけれど僕は氷室様に話すことを禁止されている。

「氷室君、君のことちゃんと看てくれてる?」

新井田さん、氷室様のことは僕には分かりません。

「……明石君、泣いているの?」

新井田さんが背中を摩り労ってくれる。
気持ち良い……


「ゥオエェェ」

「エェ?!気持ち悪いの?!」

吐いてしまった。


視界がフェードアウトする。

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