《MUMEI》

自室で、へたり込む、いっくん。


「びっくりした…」


「死ぬ程、びっくりしたんだから!」


編みかけのマフラーに向かって怒鳴る、いっくん。
「やいっ、おに〜!死ぬ程びっくりしたんだから!」


「びっくりしたんだから…聞いてんのか…おい…ばか。」
段々と震えて声が小さくなった。


「おかげで24日まで、間に合わないかも、知れないじゃないか!」
マフラーを編み始めるいっくん。


勝三ちゃんの言った事も、ほんとかも知れないな…


「悔しいけど…」
大人になれば、考え変わるか知れない…


…でも今は、子供だからはっきりしない。将来の事考えれば不安にもなる…


だけど、先の長いマフラーでも、ひと目ひと目編んでると、毛糸玉が薄くなってくみたいに…


1日1日、一生懸命生きてれば、その内分かって来るのかな…なんてね。


…でも、でも 今のあたしが、嫌いな大人には絶対なりたくないもんね。


そーよ、絶対なるもんか!


皆…真夜ちゃんやウェンズディやディビーや川中島くんや中里や…

はは…おかしいな、皆どんな大人になるんだろ…

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