《MUMEI》
祐也と也祐
『ほら、祐也。これが、お前の名前だよ』


『俺の、名前…』


『それから、これが、私の名前だ』


『也祐の、名前…

…俺と、似てる?』


『そうだよ、祐也は本当に賢いね。

私の名前を逆にすると、お前の名前になるんだよ。

…愛してるよ、可愛い祐也』


そう言って、也祐は


旦那様は


俺を優しく抱き締めた。


あの腕の温もりを、優しさを


俺は


一生


忘れない。


「なぁ、誰なんだ?」


思い出に浸る俺を現実に引き戻した祐に、俺は


「俺の保護者の上司だ。

…すごく、世話になった、恩人」


そう、説明した。


嘘はついていない。


也祐は忍の主で、俺の世話も積極的にしていた。


也祐が俺を買わなければ、俺はもっと酷い扱いを受けていただろう。


だから、也祐が俺の恩人であることに変わりは無かった。


そして、俺は、騒ぎを聞き付けた楓さんに、ベッドに強制送還され、志貴から説教された。


騒ぎのどさくさに紛れて、祐も病室に入ってきていた。

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