《MUMEI》

師匠にお礼を言うと、



「もう帰んのか??」



と、驚いた表情で訊かれた。



「えー…っと、はい…」



なんて答えればいいか分からずに、言葉を濁す。


すると、



「…まあ、色々大変だろうからな。
―…また来いよ」



清水さんが優しくそう言って笑った。



「…はい!!」



私も笑顔で答えて、ありがとうございました、ともう一度言ってから、深く頭を下げる。



道場の外に出ると、『私』の姿―…椎名くんが、ゴジラをからかって遊んでいた。



私に気付いた椎名くんは、「お」と短く声を上げると、
ご主人様のお帰りだぞ、とゴジラに呟いて立ち上がった。



「…帰るか」


「うん」



椎名くんの足元で、ゴジラが小さく吠えた。

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