《MUMEI》 今日も、椎名くんが先に駅に着いていた。 「おはよう」 「…おう、おはよ」 挨拶を交わした後は、ただ沈黙が流れた。 かん、かん、かん… 踏み切りの音、到着アナウンス… 椎名くんの唇が動いた。 「え??」 何を言ったのか聞き取れなくて、首を傾げる。 椎名くんは私を振り返って少し微笑むと、 「…なんでもねえ!!」 大きな声で、言った。 …何て言ったんだろう。 気になったけど、椎名くんはすぐに電車の来る方に顔を向けてしまって、 もう聞き返すことはできなかった。 前へ |次へ |
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