《MUMEI》 スペック当然ながら、奴(GSXーR600)も飛び出して来る。 上りの序盤は、緩やかな高速コーナーが続く。 奴のマシンの得意とするステージだ。 当たり前の様に張り付いて来る。 ストレートでミラーを覗くが、追い越す気は無さそうだ。 俺のマシンと、僅か200ccの違いだが、馬力は倍以上ある。 おまけに車体重量はほとんど変わらないという反則のようなスペックだ。 だが、ここは峠、レギュレーションは一切無く、何でもありだ。 (いつでも抜けるってか? ここで抜かなかった事を後悔させてやるよ!!) 中盤からは、中速コーナーにヘアピンが混ざったテクニカルコーナーが続く。 俺は、ミラーを見ず、自分の走りに集中した。 ヘアピン手前で減速すると、すぐ後ろから、減速する音が聞こえる。 立ち上がりから次の高速ヘアピンまでの間に、キツい右からのS字コーナーがある。 (ここで差をつけてやる!!) ここは、この峠で一番難しい場所だ。 S字でスピードを殺しすぎると高速ヘアピンが台無しになる。 俺は、右コーナーをインベタキープでクリアし、ヘアピンにつながる左コーナーの立ち上がりに照準を絞った。 前へ |次へ |
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