《MUMEI》 子供達の妨害私を抱きしめる俊彦を、いつも止めるのは子供達だ。 三人の子供達は、皆俊彦に似ている。 俊彦が綺麗系だから、そっくりでも、女の子の壱子(いちこ)はとても可愛いし、双子の信彦(のぶひこ)・康彦(やすひこ)も、将来有望だ。 「ありがとう、三人共」 俊彦を引き離した三人に、私はお礼を言った。 三人は、ものすごい笑顔で 何故か、毎回私の足に抱きついてきた。 「いいな、蝶子さんは。悩み事無さそうで」 ボソリと聞こえた声に、私はハッとした。 (しまった) カウンターには、顔色はよくなったが、未だに険しい顔の洋子さんがいた。 「あれ?洋子ちゃんじゃん」 洋子さんは、相田さんと愛理さんの結婚式以来、商店街によくきていて、『シューズクラブ』にも行った事があり、俊彦とも顔見知りだった。 「お久しぶりです…」 洋子さんは、そう言った後、大きくため息をついた。 「どうしたの?」 「悩み事、あって…」 「それなら蝶子に任せなさい!」 (何で私?) 「まぁ、とにかく他のお客を帰してからね」 咲子さんは、テキパキと会計をこなした。 前へ |次へ |
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