《MUMEI》 流理「なんか最終的には流理のおかげでうまく行った感じだなぁ。ちょっとムカつく」 「実際そうじゃない」 「あいつはなんか神に愛されてるって言うかさ、恵まれてるって言うか……同じ双子なのに違うんだよな」 「そうなの?」 「あいつが関わるとなんでもうまく行くんだよ。いい方向に流れるんだ」 「よかったじゃない。流理さんがそういう人で。そうじゃなかったら私達結婚許してもらえなかったわ」 「そうだけど……なんかこういうことは、流理の力とかに頼らないで自分達の力でなんとかしたいじゃん」 「流理さんは有理にとってはライバルでもあるのね」 「全然勝てないけどな」 苦笑が漏れる。そうだ。いつだってオレはアイツに勝てないんだ。 ――…流理に連絡しないとな。 心配してるんだろうな、流理のヤツ……。 「早苗、お腹大丈夫か?」 「大丈夫よ」 「事務所とかどうしようか」 「どうする?」 …まぁ今は考えないようにしよう。今だけはこの幸せな時を感じていたい。 きっとこれから忙しくなる。 マスコミに追い掛けられ、顔を隠し、流理はコメントを求められる日々が……。 また迷惑かけるけど、流理、勘弁してな。 「早く会いたいなぁ〜!……でもゆっくり大きくなってから産まれて来てね」 早苗はもうすでに母親の顔だ。 オレもしっかりしなきゃな。 前へ |次へ |
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