《MUMEI》
「―――うぜ…」
「―――――」
「―――なんかさ、お前ら随分無理しあってね?……、なんかさ、マジで…―――
はあ、まあ俺が言う事じゃないか」
「―――無理…
俺が?
……
惇も……――――?」
「……さあね、ほら降りよ」
裕斗は助手席を開けてくれ、手を握られた。
「ほら」
「うん…」
手を引かれ車を降りる。
▽
「一人で歩ける?、肩に掴まるか?」
「うん、平気…」
「――無理すんなよ」
それでも俺の手を握りながら前に進む裕斗。
――違う。
恋愛感情はもう、まるでない筈のに…
なんで俺は…。
「―――惇と何があった?」
「―――――」
「本当はその傷刺されたんだろ?」
「―――」
「―――――」
「―――」
「―――うん、……」
「――良かったな、たいしたことねーで…、まあ…お互いに」
▽
裕斗がエレベーターのスイッチを押し、ゆっくりとそれは上から降りて来る。
「――惇は何も知らないから…、黙っててな」
「―――――、
……何だそれ」
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