《MUMEI》

「―――うぜ…」



「―――――」





「―――なんかさ、お前ら随分無理しあってね?……、なんかさ、マジで…―――
はあ、まあ俺が言う事じゃないか」




「―――無理…


俺が?

……

惇も……――――?」





「……さあね、ほら降りよ」




裕斗は助手席を開けてくれ、手を握られた。




「ほら」




「うん…」




手を引かれ車を降りる。





「一人で歩ける?、肩に掴まるか?」



「うん、平気…」




「――無理すんなよ」




それでも俺の手を握りながら前に進む裕斗。









――違う。





恋愛感情はもう、まるでない筈のに…






なんで俺は…。




「―――惇と何があった?」





「―――――」





「本当はその傷刺されたんだろ?」






「―――」





「―――――」





「―――」






「―――うん、……」





「――良かったな、たいしたことねーで…、まあ…お互いに」









裕斗がエレベーターのスイッチを押し、ゆっくりとそれは上から降りて来る。







「――惇は何も知らないから…、黙っててな」






「―――――、
……何だそれ」

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