《MUMEI》

俺は持っていたナイフで、左手の甲を自ら斬った。


「鳳由さん!!」


斬り口から真っ赤な血が、溢れ出していた。


嬉呂巴の鼓動は、ドックンドックンと高鳴っていた。


「噛まれなきゃ吸血鬼にはならないだろ、それに俺が嬉呂巴のためにタブレットを作ってやるよ。」


「鳳由さん…。」


俺は左手の甲を、嬉呂巴に向けた。


血が手首の方へと垂れていった。

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