《MUMEI》 普通の高校生「…珍しいな。普通のリアクションだ」 普通の高校生はきっと、身近な人の死を、経験したことは無い。 だから、大切な人を亡くした人間にどう声をかけたらいいのかわからない。 祐も志貴も、そんな表情をしていた。 どれだけ、俺様でも 女王様扱いされても 結局二人は普通の範囲から出ていないのだ …俺と違って。 「まだ、四十だった」 也祐の享年は、祐や志貴の両親よりも年下だった。 「くも膜下出血だった」 本当は、拳銃で頭を打ったらしいが、そういう事にしたらしい。 どちらにしても 也祐がこの世から消えた事には変わりない。 「藤堂さんは、也祐さんの一周忌を仕切らなくてはならないから」 忍は、也祐の執事なのだから 「だから、ここにはいない」 静かな病室に、俺の声だけが響いた。 「質問には、答えたぞ」 祐を睨むと、まるで蛇に睨まれた蛙のように固まっていた。 …普通は、やはり、こういう時は女性の方が精神的に強いらしい。 「帰るわよ、祐」 口を開いたのは志貴だった。 志貴は、祐を引きずるようにして、帰っていった。 前へ |次へ |
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