《MUMEI》
クリームコロッケ
「快進の出来映え!」
一人の力で頑張ったカニクリームコロッケ!
カニなんかズワイガニ丸で買ってきて自分でほぐした。
途中飽きちゃって何度も断念したけど1日かかってめっちゃ頑張って作った。
真菜が内藤と数日かけた旅行に行ってしまったお陰で部屋は只今ぶっちらかり放題。
だからエアコンのリモコンも行方不明でめっちゃ汗だく。
ふと冷静にキッチンを見渡せば……
「は〜、洗い物は明日でいいか、俺がんばったし」
流しはグラスに水も汲めない程のボールや鍋の山。
油はねやらクリームが溢れまくっているキッチン台やクッキングヒーター。
しかも換気扇回しているのに油と蟹臭が………。
まあそれはなかったことにして、俺は余熱の取れたクリームコロッケを二つのタッパーに入れ、マンションを出た。
▽
「マジで?俺の分まで作ってくれたんだ」
「当たり前じゃん!
まあ料理の師匠に味見して欲しいのもあったんだけどさ、じゃーわりいけどタクシー待たしてっから行くな」
「有り難うな、後で隆志来るからそん時食べるよ」
玄関先で惇にクリームコロッケの入ったタッパーを渡し、俺はご機嫌でタクシーに戻った。
▽
「今度は成功だぜ!ジャジャジャ〜ン!」
「うわぁ、普通にクリームコロッケ!しかもでっかい俵形!今回は上手く形成したなあ」
「へへ、しかも今回は蟹入り?10時間ちかくもかけて蟹丸ごとから身ぃ取り出したんだぜ?」
「10時間?それは偉く時間かけたな〜、
まあうまそうだ、食べよう」
秀幸は小皿にクリームコロッケを取り、そのままでっかくかぶりついた。
「―――――」
「ど?おいしい?」
「……―――
うん、……」
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